第133章 口にしたいのは同じ言葉
「ちょっと想像はつくけど。」
「………なに?」
「調査前だからね。兵長も言いたくなったのかなぁ、と。」
「……いや、ちょっと何のことか、」
「凛、」
顎元を掴まれ、無理矢理視線を合わせられる。
真剣な瞳に見入られ、身体は動き方を忘れたかのようにその場に留まった。
「……凛。愛してる。」
胸の奥が熱くなったのと同時に、その熱さをも上回るくらいの熱っぽい唇が、自分の唇とそっと重なる。
啄むような穏やかで優しいキスを何度も繰り返した後、自然と瞑っていた瞼を開いた時には、モブリットの柔らかい笑顔が瞳を占拠した。
「俺も何度でも言いたい。
言って何かが変わる訳じゃなくても、口に出さずにはいられなくなるんだ。」
熱い体温に包まれ、それを受け入れる様にそっと背中に手を回す。
「リヴァイ兵長にも言われたんだろう?」
「……そんなこと、さっきの私の様子だけで分かるものなの?」
「今日、凛の様子がちょっと変だったからね。
兵長と接する時、どこかぎこちなかったし。」
「よく見てるね……」
「凛が側に居る時は、自然と凛のこと目で追ってるから。
それくらいなら案外簡単に気付けるよ。」
それは団長も兵長も同じだろうけど、そう付け加えたモブリットは、ますます強く私の腰を引き寄せた。