第133章 口にしたいのは同じ言葉
モブリットは凛を胸に強く抱いたまま、微かなため息を溢す。
「本当に、凛の言った通りだな……
やきもち妬くクセに、聞きたくなる。」
「……ごめん。私が色々分かり易いからだよね。」
「聞いたのは俺だからね。凛が謝ることではないよ。」
「それでも。ごめんなさい……」
胸元に顔を埋めてくる凛の髪を撫でながら、兵長と凛が、どんなやりとりをしたのかを、つい想像してしまい、重苦しい感情が圧し掛かって来た。
リヴァイ兵長に“直接的な愛情表現”をされて、凛の気持ちが兵長に傾かない筈がない。
最近少し期待を抱く時もあった分、どこか落胆している自分もいて、そんな自信過剰な意識を持っていた自分にも苛立ってくる。
「……モブリット?」
「大丈夫。ただ勝手な嫉妬心と葛藤してただけだから。」
不安気な声を掻き消すように、凛の頬に自分の頬を摺り寄せる。
「調査終わったら、また兵長にも負けない様に攻めるから。覚悟してて。」
自分にしてはかなり強気な発言を凛の耳元で囁く。
それくらい言わないと自分の心の内まで弱気になってしまいそうだし、凛に伝えておくことで、決意がより一層強く固まる気がした。
「……モブリットがそういう風に言うと、結構びっくりするね。」
「直接的な表現の方が分かり易くていいだろう?」
既に耳元を少し紅潮させた凛は、顔を上げてすぐまた胸元に収まると、
「分かり易いし、強気なモブリットもかなりいいね。」
そう言って恥ずかしそうに笑った。