第131章 心の帯を緩めて
「凛はいいよ。」
「でもね、多分私って平均より小さくて軽い方だと思わない?
これで元々の運動神経さえ良ければ、立体機動装置の扱いも、結構上手くなれた気がしない?」
「思うけど、凛が調査に出る必要はない。
むしろ出られたら困る。」
「……ここで待ってて欲しいから?」
いつだったかモブリットに言われた言葉を投げかけてみる。
「そうだね。
それもあるし、凛が調査に出たとして、もし危険に晒されるようなことがあれば、色々放り出すことになっても助けに行きたくなりそうだから。」
困ったように笑うモブリットの言葉は、きっと本心なのだろう。
少し苦しそうにも見える表情を見ているのが切なくなってきて、再びそっと胸元の指を滑らせ始めた。
「モブリット、久しぶりの調査だけど、緊張してないの?」
「緊張…はしてないかな。
むしろ奮い立ってる気がする。
凛が考案して、団長が取り纏めた作戦を、初めて試す機会に立ち会えるっていう期待もあるし。」
「……すごいね、モブリットは。」
思わずため息が漏れる。
ほぼ2か月ぶりの調査なのに、そう思えるなんて、日頃から真面目に訓練を熟してきた証拠だ。
身体を少し触っただけでもすぐ分かったように、モブリットのストイックさには脱帽せざるを得ない。