第131章 心の帯を緩めて
仕事を終え、夕食と軽い水浴びを済ませてから、モブリットの部屋へ向かう。
夜の8時を回ったところだった。
きっとまだ仕事の最中だろう。
何か私に手伝えることもある筈だ。
ハンジの机の上に積まれた書類たちのことを思い出しながら、モブリットの部屋の扉をノックした。
……が、反応がない。
少しの胸騒ぎを覚え、ドアノブをゆっくりひねってみる。
鍵は開いていたようで、すんなりとドアノブは回り、そのままそっとドアを押した。
「……モブリット?」
自然と小さくなった声で呼びかけながら辺りを見回すと、机に突っ伏しているモブリットをすぐに視線が捉えた。
……寝ている……、のか。
机上に視線を移動させると、書類はかなり片付いていたようで、出来上がった達成感から気が抜けて眠気が襲ったのだろう、という予測が容易に出来た。
今夜の為に、頑張ってくれてたのかな……
そう思うと、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちが天秤の上でゆらゆら揺れる。
それでも、穏やかな表情で眠っているモブリットを見ると、圧倒的な安心感が湧き上がってきた。