第131章 心の帯を緩めて
「ハンジさん……
いつから見てたんですか……?」
「さすがモブリット!気付くもんなんだねぇ。」
いつの間にかほんの僅かに開いていたドアの隙間から飛び出してきたハンジは、満面の笑みをこっちに向けてくる。
……まさか覗き見していたとは………
ハンジの部屋でいちゃついていた罰だ……
そう思いつつも、見られていた恥ずかしさは徐々に顔を熱くさせる。
「もう少し進んだところまで見られたら良かったんだけど。」
色々参考にしたかったし、とニヤニヤ笑うハンジを見て、モブリットはもう一度大きなため息を落とす。
「……すみませんでした。
上官の部屋で不謹慎な」
「全然問題ないよ!
むしろ今夜は私の部屋を使って欲しいくらいだ。」
「は、ハンジ……」
モブリットの謝罪を遮った爆弾発言に目を見張りつつも、ツッコむ言葉さえ見つからない。
「まぁ、でも結構堪能させてもらったよ。
“男のモブリット”がどんな感じか。」
「……そんなもの、堪能しないでいいです。
それより訓練」
「分かってるって!
もう本当に覗く時間ないから、ゆっくりいちゃついてね!」
余計なひと言を投げかけられ、ハンジはスキップに近い軽やかな足取りで、部屋を出て行った。