第128章 千丈の堤も蟻の穴より崩れる
「お前は笑っている方がいい。」
「……ん、」
濡れた目元を、
リヴァイの指が優しく拭う。
もう一度リヴァイに身体を預けたくなり、
強く抱き着いた。
リヴァイは特に何を言うでもなく、
私が顔を上げるまで、
ずっと頭を撫で続けてくれていた。
「お待たせ、もう大丈夫。」
やっと呼吸も落ち着き、
リヴァイから身体を少し離すと、
流れるようにベッドへ押し倒される。
このまま行為が始まるつもりで身構えたが、
また強く抱きしめられたまま、
静かな時間が流れる。
「……リヴァイ?」
「別に待たされたと思ってねぇよ。
気が済むまでこのままでいたらいい。」
「死ぬほど善がらせてやるから覚悟しとけ、
って言ってたのに?」
「ほう。
そんなに善がらせて欲しかったのか?」
「……そういう訳じゃないけど、
そういう訳じゃない訳でもない……」
「どっちだよ。」
尤もなツッコミを入れてくるリヴァイの表情は
柔らかく、それに釣られて頬が緩む。