第128章 千丈の堤も蟻の穴より崩れる
「俺はお前を抱くことばかり
考えてる訳じゃないからな。」
「もしかしたら、私のせいで
性欲が促されてるかも知れないのに?」
「それは、俺たちがお前の世界にいた時の
お前の状況と重ねてんのか?」
「……あの時は、私だって
エルヴィンやリヴァイの性欲が
移ったくらいに思っちゃった時も
あったからね……」
「そうだな。あの時の性欲が、
お前を惹き寄せられるくらい
異常だったことは否定しねぇよ。」
リヴァイの額が、自分の額と重なり、
少しだけ触れている部分が熱を生む。
目を閉じて、
意識を触れている場所に集中させると、
リヴァイの体温が、
ますます自分のもののように感じられた。
「だが、だからと言って
お前を抱かないと気が済まない、
そういうことじゃない。
こうしているだけで満たされる部分だって
かなりある。」
リヴァイの言葉が嬉しくて、
また涙腺に力が入る。
自然とリヴァイの頬に手を当てると、
その手をそっと握られた。
「俺は、お前の心も身体も欲しいんだよ。
どちらか一方でも満足できるような
寡欲さは持ち合わせていない。
その両方が手に入るまで、
俺はお前を求め続ける。」
「……すごい口説き文句だね。
出会った当初のリヴァイからは、
想像もつかないよ。」
「俺もそう思う。」
茶化して言った言葉に賛同するリヴァイは、
吹き出すようにして笑った。