第128章 千丈の堤も蟻の穴より崩れる
「エルヴィン。
これは誰に報告するんだ?憲兵か?」
「いや。憲兵は信用ならない。」
「……なるほどな。
第一憲兵辺りが怪しいと踏んでる訳か。」
リヴァイがそう言いながら、
足元に転がる男に視線を向けると、
男はスッと視線を逸らした。
「取り敢えず、凛のことにも理解がある
ピクシス司令に頼もう。」
エルヴィンに抱きしめられたまま、
ふと視線を上げる。
今までに見たことのない、
想像も出来なかったような厳しい表情が、
反射的に身体を震えさせた。
「……お前たちを拷問するなら、
立件し、完全に拘束した後だ。」
男を見下ろすエルヴィンの視線の冷酷さに、
思わず視線を逸らす。
自分の存在のせいで、
エルヴィンにこんな表情をさせている。
それが事実だ。
「それなら取り敢えず、駐屯兵団へ行くぞ。
お前はさっさと凛から離れて、
早いところそのツラをどうにかするんだな。」
リヴァイの言葉を受け、
エルヴィンの身体は躊躇う様にしながら
自分から離れた。