• テキストサイズ

君と鼓動が重なる時・2【進撃の巨人】

第128章 千丈の堤も蟻の穴より崩れる



「…はぁ……、」


取り敢えず、一度深呼吸をする。


「大声は出すなよ?」

そう言う、ということは、
この場所は繁華街から
そこまで離れていないのかも知れない。

冷静に色々思案しつつ、男に視線を向ける。

やはり、自分よりは若そうだ。



「目的は、団長を調査兵団から排除すること、
ですか?」


「……俺は雇われた身だから、
そこまでは話せないし知らない。」


そんな筈はないだろう。

知らないなら、わざわざエルヴィンを
ここに呼ぶ意味は何なんだ。


そう問い詰めてしまいたいが、
ここは落ち着いて話すべきだろう。

一呼吸おいてから再び口を開く。



「大変な仕事を任されましたね。」


「……どういう意味だ?」

「エルヴィン団長を敵に回すなんて、
あまりにも恐れ多くて。
まさか本当に、私を誘拐したくらいで
成功すると思っているんですか?」

あからさまに不憫そうな顔を作ってみると、
男は目元だけでも分かるような
曇った表情を見せる。



「エルヴィン団長と私は、
ただの兵団指揮官と秘書の関係です。
ですが、エルヴィン団長は仲間想いなので、
このようなことをしているとなると……」


「……なんだ、」

「あなたの身が、危ないだろうな、と。」


そこまで言ったところで、
ドアの開く、重く鈍い音がし、
背後から少しの光が射し込んだ。

/ 1588ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp