第128章 千丈の堤も蟻の穴より崩れる
「……それにしても、
凛、あなた大丈夫なの?」
「何の話?」
基地の中に入り、しばらく歩いたところで
突然少し声のトーンを落とした
アンカの声に合わせて、小声になる。
「憲兵団の重役に何か悪さをされた、
って噂を聞いたから。」
「そのことか……
こっちにもその話伝わってるんだね。」
「つい先日聞いたわ。
ピクシス司令が激昂していたからね。
相変わらず、憲兵団の上層部は
腐った連中が多いって。」
「……それについては否定しない。」
その言葉に同意するように頷くと、
温かい手に頭をそっと撫でられる。
「困ったことがあったら私にいつでも言って。
調査兵団には女性が少ないわよね?
女相手の方が話しやすいことだって
たくさんあるでしょうから。」
「……ありがとう。」
アンカの優しい眼差しを受けながら、
深い安心感に包まれ、丁寧に頭を下げた。