第128章 千丈の堤も蟻の穴より崩れる
凛が駐屯兵団に着くと、
基地の入り口でアンカに迎えられる。
「凛。わざわざ来てもらって悪いわね。」
「アンカ!久し振り!!」
相変わらずの
クールビューティーな参謀に駆け寄ると、
優しい笑顔で頭をポンポンと撫でられる。
アンカ・ラインベルガー。
彼女は駐屯兵団の優秀な参謀で、
いつもピクシス司令の側近として、
司令と行動を共にしている。
アンカとは
ピクシス司令の紹介を受けて知り合い、
年もそんなに離れていないことや、
司令の話で意気投合しているうちに、
急激に仲が深まっていた。
「司令、あなたが来るのを
心待ちにしているわよ。」
「本当に?
私も会いたかったから嬉しいなぁ。」
「あの司令と二人で飲みに行くなんて
無謀なことをしたがるのは、凛くらいよ。」
フッと息を漏らすアンカの横顔を見つめる。
あまり笑うことのないアンカが
頬を緩めるところを見られると、
嬉しい気持ちが込み上げてくる。
……それにしても、
いつ見ても綺麗で凛々しい。
その上仕事もできるんだから、
もはや彼女の欠点なんて見当たらないし、
見つける気にもならない。