第127章 動揺の日
「……なぁ、どういうことだと思う?」
「……俺も聞きたいくらいだ。」
ケイジはゲルガーの問いを軽くあしらいながら、
さっきの一連の様子を思い返していた。
団長も兵長も、明らかに凛を見る目が違う。
これまでも、凛に対する態度が
柔らかいように感じた時もあったが、
優秀な秘書を大切にしているんだろう、
くらいにしか思っていなかった。
だが、今のやりとりは、
さすがにあからさまだ……
もしかしてあの二人も……
「団長と兵長、凛さんのこと好きなんだね。」
「「は?」」
ニファがサラッと言い放った一言に、
思わずゲルガーと驚嘆の声が被ってしまう。
「え、そう思ったよね?」
「い…いや、まぁ、
いつもとは違う様子だとは思ったけど……」
「あんな顔の団長と兵長、初めて見た。
すごく嬉しそうで、幸せそうで……いいなぁ。」
ゲルガーの吃音とは対照的な、
ニファの穏やかな声と顔は
本当に羨望の感情が込められている。
……ニファは、こういうところがある。
天然なんだろうが、
人の感情をやたら読み取れるし、
しかもそれが結構当たっているから不思議だ。