第127章 動揺の日
「い、今の、絶対ダメです……!!」
「問題ないよ。後ろに人はいない。」
「いや!前にはたくさんいますからね!」
「……声が大きいよ。
何をしていたかバレるだろう。」
それを君が言うのか!!!
大声でつっこみたい気分だが、
勿論そんなことをできる状況下ではない。
相変わらずゲルガーたちの視線は
こっちを向いているようで、
もしさっきのも見られていたら……
そう思うと、血の気が引く。
「そんなに怯えた顔をしなくても
いいじゃないか。」
「そんな大胆な事していいと思ってるんですか?」
焦った口調のままで問い詰める。
さすがに団長とまで噂が立つのはマズイ。
そんなことエルヴィンにだって
分かっている筈なのに、
珍しくあからさまに大胆な行動に出られて、
狼狽えない訳がない。
「すまない。
君がリヴァイに何かされたかと思うと、
妬いたんだ。」
「それ、謝る時の顔じゃないですからね。」
全く反省の色が見られない
笑顔のエルヴィンの頬を抓りたくなるが、
勿論この場でそんなことは出来ず、
もどかしい指先が自分の首筋を掻いた。