第127章 動揺の日
……一体何だったんだ。
リヴァイの背中を見送りながら、
火照った顔を少しでも早く冷まそうと
バインダーを団扇にしてパタパタと顔を扇ぐ。
精一杯反抗してみたものの、
今晩の営みの濃厚さを
助長してしまった気がして、
そう考えるとまた熱が上がって来そうになり、
一度大きく深呼吸をした。
その時、
「凛。新兵たちの調子はどうだ?」
エルヴィンの声が後ろから聞こえ、
反射的に振り返った。
「どうした。暑いのか?」
「……はい。でも大丈夫です。
記録、見られますか?」
「さっきリヴァイと話していたようだが。
さては何かされたな?」
鋭い。鋭すぎて、もはや怖い。
ニヤつくエルヴィンに手を差し出され、
バインダーを手渡すと、
エルヴィンは周囲を窺うように
視線を四方へ向ける。
「そうだな。
この角度なら大丈夫だろう。」
「……何の話でしょうか?」
問い掛けてすぐ、
顔の前にバインダーを立てられ、
腰を屈めたエルヴィンの顔が近付く。
さすがにそれはまずい!
と、抵抗するより先に唇は数回軽く重なった。