第127章 動揺の日
「お前がそんな顔をしてると、
ますます噂が別の方向へ向かうぞ?」
「兵長がいきなりそんなこと言い出すから……
ちょ…、取り合えず、
もっと離れてもらっていいですか?」
「ほう……俺に命令する気か。」
「め、命令なんて大袈裟なものじゃなく、」
徐々に顔を背けていく凛の顎元を掴み、
無理矢理視線を合わせると、
赤らんだ顔が目前に迫り、
衝動的に唇を重ねたくなる。
……が、そこまでしたら、
さすがに問題になるだろう。
「……ッ…、今そんな顔しやがって……」
「いや、私のせいじゃないと思うんですけど。」
「続きはお前の部屋だ。
……死ぬほど善がらせてやるから、
覚悟して待ってろよ。」
「……それはこっちのセリフですけど。」
「……なかなか言ってくれるじゃねぇか。」
この状況でも反抗することを忘れない凛は、
俺の期待を裏切らない。
……午後の訓練は、一段と身が入りそうだ。
ついニヤつきそうな顔を
意図的に引き締めつつ、
凛に背を向け、基地の方向へ歩き出した。