第127章 動揺の日
……仕事でこいつを褒めると、
本当に嬉しそうな顔をしやがる。
褒めることで
凛の意欲を促せるのは結構なことだが、
それで頑張りすぎるのもこいつの悪い癖だ。
だが、こんな笑顔を見れば、
また素直に褒めたくなるのも現状だった。
まだニヤついている凛の腕を引くと、
一気に距離が縮まり、
目を丸くした凛の顔が近付いた。
「今晩の予定は?」
「……な、ないです。」
「そうか。
それなら仕事が終わったらお前の部屋に行く。」
「……兵長。もう少し、声のトーン
落とすべきじゃないですか?
あと、距離も近いです……」
「あ?」
「……見られてます、あっち、」
凛が一瞬視線を送った先に目を向けると、
ゲルガーとケイジ、ニファの姿があった。
三人は完全に俺と目が合った筈だが、
即座に視線を逸らされ、
その様子からして、
俺たちの様子を見ていたことは明らかだろう。
「ゲルガーとケイジは、モブリットとお前が
デキてると話していたからな。
これでお前が俺にも言い寄られてるとなると、
また複雑な噂が立つんじゃねぇのか。」
「そう思うなら、
もう少し警戒して話すべきでは……?」
「俺が一方的にお前を口説いている噂くらい、
いくらでも立てばいい。」
そう言い切ると、
凛の頬がじわじわと赤く染まっていく。