第127章 動揺の日
調査の日が近付き、
兵団は一気に慌ただしくなる。
それでも今回は
元々設置が済んでいる拠点への物資の補充や
拠点周辺で巨人の動きを観察し、
これからの動向を思案する調査の為、
調査期間も短く、前回の調査前よりは
忙しさは緩和されているような気がする。
そして、エルヴィンが
あの話をしてくれた日以降、
私が訓練の記録を執ることも多くなった。
あまり訓練中の自分を
見せたくない様子だったが、
色々話したことで、
何か吹っ切れたのかも知れない。
確かに見せたくもなくなるかも知れない、
と思う程、エルヴィンもリヴァイも
プライベートの様子とはまるで違う。
それでも、それは悪い意味ではなく、
真剣に命を預かる立場としての
仕事振りだということは歴然で、
二人を見る目はまるで変わらない自信があった。
「凛、お前も今のうちに休憩しろ。」
午前中の訓練が一段落つき、
休憩に入ったところで
リヴァイに声を掛けられる。
「リヴァイ兵長。ありがとうございます。
これだけ纏めたら休憩します。」
周りは休憩する為、
基地や休憩所に向かう兵士たちで溢れている。
この状況だと、勿論敬語は外せない。
「……丁寧だな。
お前が記録を執ると見やすくていい。」
「兵長にそう言っていただけると、
本当に嬉しいです。」
記録書を覗き込んだリヴァイに、
感心したような声を上げられ、
思わず頬が緩んでしまう。
几帳面なリヴァイにそう言われると、
益々やる気が湧き出すようだった。