第124章 純粋で明白な感情
「……可愛い女の子が、
泣きながら言う言葉ではないよ。」
「女の子、って年でもないけどね。」
小さく笑いながら涙を拭う姿すら
魅力的でしかなくて、
感情の赴くままに凛を抱きしめる。
「……そうだな。君は出会ったばかりの頃は、
自分の意思も殆ど持たないような
弱気な女の子だったのに、
今はこうして自分の意思を強く持つ、
逞しい女性に変わった。
本当に驚くほどの成長だよ。」
「エルヴィンたちのおかげだから。
……ここに来てますます自分が変わったことは、
自分でも凄くよく分かる。」
恋人選びに対する優柔不断度は
増した気がするけど、
そう冗談めかして付け加える凛の細い腕が
背中に回され、
どうしようもない衝動が凛を抱きかかえた。
「え、エルヴィン?」
「すまない。今すぐにでも君を抱きたくて
仕方なくなってしまった。
このままベッドへ連れて行く。」
強引な言い分を聞いてか、
吹き出した凛を抱えたままで
ベッドルームへ向かった。