第124章 純粋で明白な感情
「凛。
そう言えば、さっき疑問に思ったことが
あったんじゃないか?」
「……どの話?」
俯く凛の瞳の揺らぎからして、
きっとこの質問がどこにあるか、
予測は出来ているだろう。
「俺は、君の身体だけが欲しい訳じゃない。」
そう言い切ると、
また凛の瞳は丸みを増した。
「勿論、君の身体も、行為も、技術も、
魅力的でしかないし、
これ以上にない程満足している。
だが、もしそれがなくなったとしても、
俺は君を求めるよ。」
「……それは分からないよ。
今は本当に私の欲に引き寄せられてるだけで、
実際タイムスリップが要因で
出会ってなかったら、
こんなことにはなってなかったと思う。」
「そうだな……まぁ、そもそも
タイムスリップしていなければ、
君と出会えてなかったから、
その時の場合を考えるのは難しいね。」
凛をまた抱き寄せながら、軽く目を瞑る。
「それでも、俺は君が欲しいと言い切れる。
君にこの気持ちは
なかなか理解してもらえないかも知れないが、
俺はこの気持ちに確信を持っているんだ。」
言葉を選ぶこともなく、
スラスラと感情が表に出てくる。
何も躊躇うことはない。
言葉にする前に考えなくてもいい。
凛に対する感情は、それ程までに明白で深い。
自分が如何に
凛を強く想っているかということを、
また密かに心の中で実感していた。