第124章 純粋で明白な感情
「………私は、私の魅力が分からない。
ここに来てから、男性関係について
もっとだらしなくなった気がするし、」
「それ以外ではどうだ?」
エルヴィンに言葉を遮られ、発言を止める。
「……それ以外?」
「ああ。例えば、仕事について。
あとは仲間について、だな。」
その言葉で思い浮かんだのは、
ただただ充実した毎日だった。
「前いた世界で、君は今の様によく笑い、
活気に溢れる日々を送っていたか?」
「……送ってない。」
「今いるこの世界で、
君は死にたいと考えたことはあるか?」
「……ない。」
エルヴィンの問いに答えながら、
唇を噛み締める。
「それなら、この世界の男たちは、
君が前いた世界の男たちと比べて
劣っているか?」
「……劣ってない。
それどころか、完全に勝ってる。」
「それが答えだ。」
小さく笑みを溢すエルヴィンが
視界に入ってすぐ、
込み上げるものを押さえるように、
エルヴィンの胸元に顔を埋めた。