第119章 相談相手は恋敵
「どうだ?その気はあるか?」
「……まだ私には勤まらないと思います。」
「それは何故?」
「すみません……
まだ、ハンジ分隊長の元で学びたいことが
多々あります。
それくらいに、私は未熟です。」
本音を溢すと団長の頬は少しだけ緩む。
「必要に迫られれば、勿論どんな職務についても
全力で任務を果たさせて頂きたいと
思っていますが、
今はまだ、その時ではないとも……」
もう一度謝意の意味を込め、頭を下げると、
団長の大きな掌が頭に落ちてきた。
「君が謝ることじゃないよ。
きっとそう言われると思って言ったからね。」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、
必然的に髪が乱れるが、
想像も出来なかった程に優しい掌の存在が、
さっきまでの混乱した思いを拭い去った。
「もしハンジについて行くのが
限界だと感じたら教えてくれ。
その時は君に部隊を持ってもらおう。」
「……分隊長の無茶振りと自由奔放さについては
常に限界を感じていますが……
また、相談させて下さい。」
冗談めかした団長の発言に合わせて
言葉を溢すと、
団長の顔はますます綻んだ。