第115章 熱のせい
凛に部屋から出てもらい、
早々に全身を拭いてから
凛が用意してくれていた部屋着に着替える。
「本当にちゃんと拭いたの?」と
訝しげな視線を送る凛を
再び部屋へ呼び戻し、
ベッド脇の椅子に座らせた。
「何か食べたいものある?」
「……凛。」
「それ以外でお願いします。」
素直に答えてすぐ、
訝しげな視線を送られるが、
頬は紅潮しかかっている。
彼女は相変わらず顔にも言葉にも
動揺が表れやすい。
「食欲はないが、性欲は湧くんだが。」
「うん。
いつものエルヴィンなのは分かった。
でも風邪が悪化しそうなことはしません。」
「……どうしても?」
「どうしても。」
ハッキリとした口調で言い切られ、
思わず頬が緩む。
凛も微笑を溢していた。
「……風邪が治ったらしようね。」
控えめな声を心の奥で呑み込んですぐ、
凛を抱き寄せた。