第12章 ●悪趣味の悩み
シャツ越しでも、
エルヴィンの暖かい体温が素肌に纏わりつく。
行き場を失ったエルヴィンの手は
私に体重をかけない様にする為か、
私の横で自分の身体を支えていて、
ベッドを少しだけ軋ませた。
「今日は急に引き寄せてくることが多いな。」
「エルヴィンが抱きしめたくなる顔
するからでしょ。」
これが反論になっているのか分からないけど、
取り敢えずそう言ってみると、
エルヴィンの体重が少しだけ身体にかかる。
「……すまない。
そんな顔をしたつもりはないんだ。」
本日何度目かの謝意を示されて、
エルヴィンを抱きしめる手に力が入った。
「凛。
これ以上強く抱きしめられると、
俺の体重がそのまま君にかかってしまう。」
エルヴィンの優しい声が耳元で響き、
また手に力が入る。