第12章 ●悪趣味の悩み
着ているものを全て脱がされ、
エルヴィンの艶っぽい視線が全身を舐め回す。
「……ねぇ。
もう何もされてないことが
分かったんじゃなかったの?」
視線に耐えきれず問いかけると、
首筋に指先が触れ、小さく身体が跳ねた。
「そうなんだが、君があまりに綺麗だから
見ずにはいられないんだよ。」
……相変わらずエルヴィンは、
こっちが恥ずかしくなるような言葉を
真剣な表情で言ってくる。
いつだったか、
“女性に甘い言葉を囁いたことはない”
と言っていたけど、
歯の浮くようなセリフを何度も掛けられて、
赤面ばかりしている自分からしてみると
やっぱりあの時の言葉が疑わしく感じてしまう。