第109章 好きの意味
「……ごめん、」
「……何で凛が謝るの?」
「………私が軽率な発言ばっかりするから。」
「それは全然問題ないよ。
俺のとは違う意味だとしても、
すごく嬉しかったから。」
顔を伏せたまま、
動きの無くなった凛の髪を撫でる。
嘘は吐いていない。
本当に、心の底から嬉しかった。
自分の“好き”とは違っていても、
そんなことどうでもいいと思えるくらいの
幸福感を覚えた。
「だからそんな辛そうにしないで欲しい……
俺が強引な行動に出たせいだってことも
分かってるけど、」
「本当に違うのかな?」
突然発せられた凛の言葉の意味を考える前に、
凛は再び口を開く。
「本当に、この“好き”って、
モブリットの言ってくれる“好き”と違うの?」
「……え、いや……それ、
俺が答えていいことじゃないよね?
ここで“違わない”って俺が言ったら、
これから凛のことは
俺だけが独占してもいいの?」
そう言ってすぐ、凛の瞳と視線がぶつかった。