第107章 言葉の力
突然立ち上がり、
ベッドの傍らに置かれた買い物袋を
漁るモブリットに、視線を落とす。
モブリットの問いかけの意味は理解できる。
今の私たちの関係性で、
シングルベッドに二人で寝るということは、
きっと“そういうこと”をしたくなる、
と簡単に予測出来た。
……でも、さすがにジャンが隣で寝ているのに、
そんなことしていい訳がないし、
出来る訳がない。
と思うけど、
本当にムラムラしないかといったら、
それは別の話だ。
きっと悶々とした状態で
一晩過ごすことになりそうだし、
こんなことを女の私が思うのはどうなんだろう。
やっぱり私の性欲は強すぎやしないか?
……私の脳内は何かと問題点がズレがちだ。
その時不意に再び寒気が襲う。
少し雨に打たれたからだろうか。
もう少し厚着をして来ればよかった。
そんなことを思いつつ、
そっと腕を摩ったとほぼ同時に、
肩の上に暖かい感触が優しく馴染んだ。