第105章 デートの行方
「……まぁ、凛はまだ俺なんか
子どもだと思ってんだろうけど、」
「いや、子どもとは思ってないよ。」
「けど、あと一年もしないうちに
憲兵になって、さっさと出世して、
凛が魅力的だと思えるような男になるから。」
私の“子どもだとは思ってない”という発言は
無視されたようだ。
子ども扱いした覚えはないけど、
何か気に障ることをしたのかも知れない。
「……子どもだと思ってない、よ?」
再び否定してみると、
ジャンの表情は少し緩む。
「それ、そんな否定してくれなくていいから。
別に今どう思われてても、
俺はこれから勝負に出るからいいんだって。」
ジャンは立ち上がると、大きく伸びをする。
「……と言うか、俺を子どもだと思ってるのは、
俺自身だから。
大人ならあんな下衆な真似しねぇだろ。」
下衆な真似、とは、女の子を
ホテルに連れ込んでいたことだろうか。
でも、それよりもっと下衆な真似をしてくる
おっさんもいるんだよ?と諭したいところだが、
あんな経験を詳しく話すことなんてしたくない。
取り敢えず口を噤んだ。