第2章 忘れじの記憶
【Scene5】Tell me the truth.
「!ドアを開けろ、!」
『嫌です……もう、放っといて下さいよ……!』
「誤解だと何度言えば分かるんだ!」
『兵長の部屋から娼婦が出て来たのは事実じゃないですか……っ』
「だからそれは、」
『言い訳なんて聞きたくありません!兵長のバカ!淫乱!』
「チッ……人の話はちゃんと最後まで聞きやがれクソガキが……!」
『中々自分に靡かない私に嫌気が差して娼婦を買ったんでしょ?それ以上何を話すって言うんですか』
「だから……それがまず勘違いだって、そう言ってるんだ」
『………?』
「いいかよく聞け……あれはオルオが買った娼婦だ。部屋を間違えたんだとよ、随分わざとらしかったがな」
『へえ……そっか、人類最強の兵長様は内地の娼館でも名の知れた有名人ですもんね』
「……何が言いたい」
『この国の娼婦は皆あなたに抱かれたがってるんじゃないですか?モテる男は辛いですね兵長』
「そんなつまらねぇ嫌味しか言えないのかお前は」
『なっ……!』
「嫉妬したなら素直にそう言え」
『………っ』
「どうした?図星か?黙ってないで何とか言ったらどうなんだ」
『………です』
「あァ?」
『兵長なんて大っ嫌いです!』
「ほう……そうか、だが…俺には好きだと言っているようにしか聞こえないな」
『……本当に…嫌い、だもん』
「本当に?」
『………っ』
「なあ、とっととドアを開けてくれないか……じゃなきゃお前の涙を拭ってやることも出来ないんだが」
『……兵長…』
「何だよ」
『私……兵長のことが好き…です』
「……そうか」
『チビで刈り上げで両刀遣いの変態だけど、そんな兵長が好きです』
「相変わらず一言多いんだよお前は」