第4章 真実
「ちょ……っと待て」
私は“ニホン”と云う国で警察官として働いていたこと。
ニホンは此処とは恐らく別次元にある異世界で、職務中に命を落とした私が“二度目の生”をこの世界で受けたこと。
ここまで話したところで、キャパの限界を感じたらしい兵長のストップが入る。
「そんなこと……いや、お前が嘘をついてるとは言わねぇが」
出会った日のように私の台詞をひとつひとつ噛み砕きながら話す兵長。
元々色素の薄い肌が余計青白く見えるのは気の所為だろうか。
「お前が何らかの方法で“二度目の生”を手に入れたとしてもだ……元の世界で死んだ時と同じ姿で此処にやって来る、と云うのは些か納得がいかねえ」
要するに兵長は“転生”については否定しないが、それはあくまで“輪廻転生”の概念であるらしい。
『確かに……私はこの世界で赤ん坊として“新たな生”を受けた訳じゃありませんけど……』
「まあ、俺達がいくら考えたところで分かりゃしねぇんだろう」
『……ですね』
「この世界には……お前が以前生活していた世界も含めてだが、分からないことが多過ぎる」
俺達のようなちっぽけな人類には一生掛かったって分からないような謎がな。
暗くなりはじめた空に輝く一番星。
遥か彼方で光るそれを見やる兵長の声は儚げな響きを含んでいた。
「分からねぇ事だらけだが……色々と聞けて良かった。エルヴィンが言ってた戯言もあながち間違いじゃないのかもしれないな」
『私が平和を司る天』
「天使ってもっと可愛げのあるモンだと思ってたんだが……違ったか」
『どういう意味ですかそれ』