第4章 真実
「まあ、何にせよだ……見てみたかった気もするな」
お前の故郷って奴をよ。
独り言でも呟くかのように話す兵長は尚も空を見上げたまま。
薄っすらと輝いていた一番星は紺色に染まった空で一際強く光を放っている。
『星に願いを』
「あ?」
『日本のおまじないです。一番星に願い事をするとそれが叶うって云う……やってみますか?』
冗談混じりに言って私が笑うと、兵長も合わせるようにして目元を緩めた。
「バカ言え。ガキじゃあるまいし」
『もしかしたら本物のマツ◯スティック考案者に会えるかもしれませんよ』
「なんだと……?」
それはやってみる価値があるな。
むしろ義務感すら感じる。
とか、なんとか。
兵長が柄にもなくジョークを言うもんだから私もなんだか楽しくて。
『じゃあ……いいですか?』
「ああ」
私達は日本で云うところの合掌をして一番星に“お願い”をするのであった。
「……何も起きねぇな」
『ですね』
シンと静まり返った丘に、どちらからともなく零した笑いが響く。
童心に帰るのもたまには悪くないな……眉を下げて微笑む兵長がそんな事を口走った瞬間だった。
ゴゴゴゴゴ……ッ!!
地響きを思わせるような轟音が辺りを包み込んで、私達の体を揺さぶり始めたのだ。
『えっ……ちょ、何これ』
「まさか敵襲か?!!」
『いやそれは無いでしょ……ていうかトリガー握ろうとしてますけど兵長無装備ですからね』
そんな会話も程々に、
段々激しさを増す揺れは数秒もしない内にシャレにならないレベルにまで発展していて。
カッ……!!
まるでピンスポットを焚いた時のような眩い光が視界を奪う。
あまりの眩しさに思わず目を瞑ったが
再び瞼を開けると……
「いらっしゃいませーいらっしゃいませー本日大売り出し中の商品はコチラ!最新式の紫外線照射式布団掃除機、レ◯コップでございます!」
瞼を開けると其処は不思議の町……でも何でもなく、ただのヤ◯ダ電機だった。