• テキストサイズ

【ハイキュー!!】青息吐息の恋時雨【短編集】

第10章 ときめきのピストルを空へと向けて(澤村大地)




*









「お土産、ほんとにこれで大丈夫かなぁ?」


仙台市体育館を後にしながら、私は紙袋の中を覗き込んだ。平気だろ。と大地がそれを無理矢理奪う。「俺と同じで、食い物ならなんでも喜ぶからさ」


「ご両親を犬みたいに言っちゃだめだよ」

「心配すんなって。なまえみたいな嫁さんなら、手ぶらでも澤村家は大歓迎です」

「もー。こっちは真剣に悩んでるのに……ほんとにほんとに大丈夫かな?夕飯に焼き魚とか出されてさ、綺麗に食べられるかチェックされたりしないかな?」

「うちのお袋に限ってそれはないな」

「わかんないよー?大切な息子に相応しい女かどうか、玄関入った瞬間から試験開始だからね」

「お前、さては緊張してるだろ?」


大地が突然立ち止まる。私を見つめる黒眼が悪戯っぽく細くなる。当たり前じゃん!と正直に言うと、大きな声で笑われた。



「なまえは少し、ワイドショーの見過ぎだな」



そう言って大地は、2人分の荷物を詰めたキャリーバッグをがらがら引いて歩き出す。見慣れない仙台の青葉の街で、私はその背中を頼りに追いかける。

これから始まる彼との未来に、期待で胸が踊りっぱなしだ。








おしまい



/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp