第30章 Everything is up to you(白布賢二郎)
「でも女の私より、賢二郎の方が美人ね。ねぇ皆から言われるでしょう?格好いいねって」
「うーん、どうかなぁ。キミ以外の女性で言ってくれたのは、うちの母親くらいかな。ほら、小学校の入学式の朝に言われた覚えがある。貴方、とびきり格好いいわよ、って」
「あら、」
なまえは声を出して笑った。「賢二郎を愛してる人だけが言うのね、きっと」
そうだね、と白布は頷いて、小説に再び手を伸ばした。
数分が経ち、「ところで、」と彼は文字を追いながら問いかける。「隣のお洒落さんに聞きたいんだけど、結局、キミは何を変えたんだい?ピアス?下着?」
何も、と彼女は笑った。「何も変えてないわ。私ってちっとも何も変われてないような気がしたの、だから、聞いてみたのよ」
「なるほどね」と白布は頁を捲り、あぁ、犯人はジェーンだったのか、と淡々と呟いた。「キミの言う通りだったよ。危うく騙されるとこだった」
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おしまい