• テキストサイズ

【ハイキュー!!】青息吐息の恋時雨【短編集】

第19章 まだネンネだもんね(日向翔陽)





「これからどんどん日が短くなっていくんだよねぇ。私、夜が嫌いだから、絶望的な気分」


ゴミ捨て場に着くと、なまえさんがゴミ箱をひっくり返します。


「なまえ、夜怖いのか?おこちゃまだなぁ」

「誰だって、お昼の方が好きでしょ」


なまえさんが笑うと、ポニーテールが楽しそうに揺れ動きます。


「だから私、夏至はあんまり好きじゃない」

「んなヒドイこと言うなよ!今日俺の、」

「ん?」

「今日は、俺の……」

「何?聞こえない」


もごもごと喋る日向くんに、なまえさんが耳を近づけました。
“俺の誕生日!”と言おうと口を開いた日向くんは、そのまま、「あ!」と大声を出しました。


「耳!」

「うるさっ……え?」

「なまえ、今日いつもより耳が出てる」


そうなのです。いつものなまえさんは、耳の前の髪を結ばずに、長く垂らしていたはずです。



「あー、そうなの。暑かったから、今日は前髪以外全部結んじゃった」

「(そんだけ?)」

「でもさ、やっぱり、これだと顔大きく見えるよね」

「なんだそれ!?なまえ、そんなん気にすんのか?」

「そんなんって何よ!気にするわよフツー!」



「なーんだ、」と、日向くんは笑いました。
耳が見えているだけ。なまえさんのいつもと違う雰囲気の正体は、たったそれだけのことでした。


「でも翔陽、よく気付いたね。バレーのことで頭いっぱいで、女子のヘアスタイルなんて見てなさそうだけど」

「なーんかな!今日はバレーよりなまえのこと考えてたかも!」

「は」

「あー!すっきりした!部活行こ!」


こらこら、日向くん。言い忘れてることがあるよ。



「あ、そうだった。

俺さぁ、今日誕生日なんだ!」



そっちじゃないでしょ。



「そう……なんだ。おめでと。翔陽」

「うーんと、俺は、耳出てる方が良いと思う!なんとなくだけど!」



そうそう。それそれ。


「……ありがと」



知ってた?なまえさんは今日、その言葉をずっと待ってたんだよ。





/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp