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【ハイキュー!!】青息吐息の恋時雨【短編集】

第18章 宇宙的浮遊感(岩泉一)



「痛いとこないか?」

「……痛い」

「マジかよ。足首?」

「右の、」

「あーあ、捻ったんじゃねーの……?ったく、とりあえずこの椅子座れ」




「ふぅーん???」

及川が顎に手を当てていた。「これはあれですね、松川さん花巻さん」


「そのようですね。及川さん」


「んだよ。てめーらも見てねーで少しは……」


「お先に失礼しまーす!」

突然、珍しく国見がデカい声を出した。と、思ったら、俺となまえの脇をすり抜けて部室の外へとするりと出て行った。それに続くように「お先でーす」と矢巾。「お疲れさまです」と金田一。その後に、花巻と松川が荷物を持って出て行こうとする。

「ちょ、……おい待てどういうことだ」

花巻の襟首を掴むと、「悪い!」と右手を立てられた。「俺急いでるから。なまえのことよろしく頼むわ!」

「はぁ?」

花巻の後ろの松川を見る。聞いてもいないのに、「妹の塾の迎えに行かなければ」と目線が遠くに。の前に、お前妹いないだろ。


「しょーがないなぁ、滅多にないチャンスだもんなぁ」
最後に残った及川が、大袈裟な仕草で俺の肩に腕を回してきた。「及川さんは、岩ちゃんに手を貸してあげるよ」

「お、おう……さんきゅ」

てっきりなまえの手当をしてくれるのかと思いきや、及川は状況が理解できない俺を部室の隅の窓の前へと連れていった。そしてぐっと低い声で囁いた。「鈍感な岩ちゃんに問題です」と。


「問題?」

「なまえちゃんは毎日とても幸福です。それはなーぜだ?」

「なんでだ?」

「頭を使えよ、我が同胞」

「気持ち悪ぃ言い方すんな」


なまえの方を振り返る。ちょこんと1人椅子に残されたまま、居心地が悪そうにそわそわしている。あいつが、幸せ?まぁ確かに毎日楽しそうだけどな。



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