第1章 【キレイな最期を】
ここまで人間に気遣いすることなんてない
ましてや昨日会ったばかりの一般人になど普通ならするわけないが
アイアンハイドは嫌な気持ちなどなく放っておけなかった
「ん~寝心地良い…」
シートを倒して目を瞑る
体をスキャンすると結構な酒の量を飲んだようだ
「ここで吐くなよ」
「だいじょうぶ…」
そしてすぐにスゥスゥと寝息をたてて寝てしまった
をセンサーで見てると手首に無数の傷や、首にも
あることがわかった
「なんだこの傷…?」
手首の傷は特に深く最近の傷にみえる
アイアンハイドにはわからなかったが
痛そうな傷になぜかスパークが熱くなった気がした
明日は任務が休みなのでが起きるまでじっとする事にした
「ん…」
起きたかと思えば寝返り
だがアイアンハイドはその瞬間の顔を見て驚く
「なぜ泣いてるんだ…」
の頬には数滴流れる涙
涙はシートにポタリと落ち少し冷たい温度がアイアンハイドに伝わる
「ごめ…なさい…て…きて」
「…寝言か」
途切れ途切れに話すので聞き取れなかったが
「「ごめんなさい」」は聞き取れた
自殺したくなるほどの悲しみは一体なんなのか
その原因は自分では和らげる事は出来ないのか
彼女の過去を知りたい
いや、知らなくても良い
ちゃんと笑ってくれるなら
それは自分には出来ないのか
アイアンハイドは流れる涙を見て思う
彼女を苦しみから守りたい
車の中に静かに響くの寝息を聴覚センサーでずっと聞いていた