第10章 小さな〈氷〉
「ねぇ、1つ頼み事があるんだ」
「なあに?」
を正面から抱き締めて、肩に頭を乗せた。
いつもはこんなことしないから、少し驚いてるのが体でわかる。
「今日は……甘えたいんだ」
耳元に口を寄せて、囁くように言った。
意識してそうしたつもりはなくて、自然と。
かなり切ない声になって自分でも驚いた。
どれだけに甘えたかったんだろう。
「ダメかな?」
「う、ううん! 全然……むしろ、嬉しいよ」
ぎゅっと抱き寄せてくれた。
それだけでも心が満たされる。
けどもっと甘えてみたい……。
そう思うのも、クリスマスだからかな。
「今日は、オレの好きなようにさせてくれる?」
「う、うん」
顔を赤くして首を縦にふった。
緊張しているみたいで、少し困り顔で体をこわばらせて目を泳がせている。
あぁ、可愛いな……。こんなの誰にも見せたくない。
そう思うのと同時にキスをした。
が欲しくて欲しくて……吸い付くように、長く。