第10章 小さな〈氷〉
今日はせっかくのクリスマスだけど、外はとんでもなく寒く、外にいる人は少ない。
オレたちも急遽、デート場所をオレの家に変更した。
「あがって」
「お、お邪魔します」
そうか、オレの家は初めてだったな。
飲み物やお菓子を持ってきてからも部屋を見回していた。
「あ! ごめんなさいキョロキョロして……」
「いいんだ、何か気になるものでもあった?」
「いや……辰也らしいお部屋だと思って」
再度部屋を見回し、素敵だ、と言わんばかりに微笑んでいる。
そんな風に言われるのはなんだか気恥ずかしい。
「そう? 自分だとよくわからないな」
「このお部屋いいよ……住みたい」
ホットココアを飲みながら見せる、チャームポイントのお茶目な笑顔がオレを魅了する。
オレの彼女は本当に可愛い。
「あの……急にお家にお邪魔して本当にごめん」
「いいんだよ、オレが誘ったんだから」
「うん……私何でもするから言ってね!」
そんなのいいのに……優しい子だな。
特に手伝ってもらうことはないんだけど……。
……じゃあ、せっかくだから。