第1章 消灯すれば〈黒〉が広がるけれど
「わ……キャンドル ! ! 」
「はい……どうですか?」
「素敵……綺麗」
ほぅ……と眺めているさん。
ボクはそんな君を見つめていました。
気付いていましたか?
「テツヤ君……どうもありがとう」
「いえ……こんな素敵な空間にいられて、ボクも幸せなんです」
どうしてそんなに、うっとりと色っぽい表情をするんですか……。
普段の少女の顔とは打って変わりすぎて……。
ドキドキしてしまう。
髪を梳いてあげると、それが合図のように瞼が閉じて……唇が触れ合う。
キャンドルによって作られるボクたちの影が、なんともまたロマンチックで。
離れるのが名残惜しいくらい。
「火、消えなきゃ良いのにな」
「そうですね」
「ずっとこのままでいたい……」
蝋が小さくなっていく。
どこか、寂しさを覚えます。
こうしていられるのも、あともう少し。
この時間とも、君とも、離れたくない。
我が儘でしょうか。