第8章 〈笠〉こじぞう
「どこの地蔵さんに行くんだよ」
「山に行く道にあるとこ。……手伝ってくれるの?」
「仕方ねぇから手伝う」
の顔がパァァっと明るくなっていった。
なんでオレこいつのこと好きなんだろう。
突拍子のない行動にもつい手を貸したくなっちまう。
「で、笠どうすんだよ」
「どうしよう」
道を歩きながら考えることになった。
絶対に要領悪い方法だと思う。
オレも何か良い手はないかと考えた。
だが明らかに横から感じる視線によって遮られた。
じっとオレを見ている。
「どうした?」
「“笠松”だけに、本物の笠じゃなくてもイケそうな気がする」
「真顔で言うな」
地蔵さんの供物みてぇになるだろ。
ただの見世物になんじゃねーか!
どうにも笠を手に入れる方法が思い付かない。
向かえから人が歩いて来たのが音でわかった。
考え事してるとつい下を向きがちになる。
え……この人。
笠かぶってるぞ!
がすかさず声をかける。
笠のことを話すと、いくつかあるから一つならくれる、ということで貰えた。
の強運は依然として半端ねぇ……。