第8章 〈笠〉こじぞう
「あった!」
そこには、小さめで顔立ちが優しい3体の地蔵さんが並んでいた。
「毎年、冬に寒そうにしてるんだ。雪かぶってたらほろってあげたりはしてるんだけどね」
そんなことしてたのか。
そうか、オレはのここに惹かれたんだ。
優しくて、真っ直ぐで、強い…。
「笠は一つだけだろ? 他の二体はどうすんだ?」
「手ぬぐいを用意した!」
かさこじぞうのまんまだな。
すげぇ、ちゃんと日本手ぬぐい出して地蔵さんにあてがってる。
本気でやりたかったんだな。
「付き合わせてごめんね、ありがとう」
「いや……オレも来て良かった」
は悪戯っぽく、ふふっと笑って腕に抱きついてきた。
「だ!誰かに見られる!」
「大丈夫だよ、お地蔵さんが二人きりにしてくれるから!」
「どっから来るんだよその自信……」
と反論したオレもなんとなくそう感じてた。
その通り、帰りは誰にも会わなかった。
「ねぇ、チューしよ~」
「誰もいないからってそれはダメだ!」
「もう、恥ずかしがっちゃってー」
クリスマスにしてはちょっと異質かもしれない。
けど良い日だった。
来年もまた、二人で来るかな。
クリスマス以外の日でな。
やっぱクリスマスはらしいことしたい……。
・。・。Mary Christmas・。・。