第6章 〈赤〉鼻のトナカイ
「急だが……サンタクロースはトナカイを連れているだろう?」
かなり目を丸くして僕の話を聞いているね。
……そんなに驚くことかな。
確かに普段口にする言葉ではないけどね。
「急だね……うん、そうね」
「元は8頭いるとされていて、それぞれ名前があったんだ」
「へぇ……例えばどんな?」
「例えば、ブリッツェンやヴィクセン」
「わぁ、かっこいいね」
「後に出てきた9頭目が、皆を引き連れるリーダー的存在のルドルフなんだ」
「そうなんだ、面白い話だね」
楽しそうに聞いてくれて嬉しいよ。
本題はここからだ。
今日だけの特別なこと。
「本題に入るが」
「うん」
「今日は僕がトナカイ、がサンタだ」
「え?」
不意打ち続きで頭がついていってないようだ。
「サンタがトナカイにするように、僕にして欲しいことを何でも言っていいんだ」
「何でも……」
「そう」
思案顔をしていた。
あっ、と思い付いた表情をしたかと思えば、少し頬を赤らめている。
一体、どんな願い事かな?