第6章 〈赤〉鼻のトナカイ
「「メリークリスマス」」
「ふふ、征ちゃんとクリスマス過ごせるなんて…夢みたい……」
「そうかな?」
「そうだよ! だって征ちゃんは憧れの存在だったんだもん……彼女なことすら夢のようだよ」
「ありがとう」
街はクリスマスで賑わい、鮮やかに彩られる。
だがボクたちは、あえて静かなクリスマスを選んだ。
誰にも邪魔されることなく、二人で静かに楽しめるクリスマス……とてもいい。
「……緊張する」
「ん? 何に?」
「だって……貸し切りなんでしょ? このお店」
「ああ、そうだよ」
は慣れていないから、違和感を感じるだろうが……。
これから慣れてもらえばいい。
頼んでいた料理が運ばれてきた。
クリスマス仕様に特別に作られたものだ。
同時に来たクリスマスケーキもかなり凝ったデザインで、飾られたお菓子のサンタやトナカイなども、細かなところまで手が施されている。
「可愛い……食べるのもったいないな」
「そうだね……でもせっかくだからいただこう」
器用にナイフ・フォークを使う。
気品が感じられる。