第3章 ツリーは〈緑〉が定番
今日の蟹座のラッキーアイテム、テレビリモコンのお陰もあり、オレたちは一番早くゴールした。
1位特典としてトナカイの柄の長いマフラーを貰った…が一人分しかなかったのでに渡した。
「本当に貰っていいの?」
「構わん。ラッキーアイテムとして使うには間に合っているし、それに……」
お前によく似合っている。
「それに?」
「いや……そろそろ休むか? そこにベンチがあるが」
「そうね、少し疲れちゃった」
そこは緑色の大きなクリスマスツリーをベンチで囲んだ休憩場。
ちらほら座っている人が見える。
ベンチまで手を引かれ、手を繋いだまま座った。
……おい、少々恥ずかしいのだが。
それから、オレは左利きでお前は右利き。
なぜ利き手同士で繋ぐのだ……不便ではないのか?
悪い気はしないが。
「今日たくさんのツリー見たけど……緑が一番いいね。落ち着く」
「あぁ、そうだな……」
「まるで真太郎みたい……安心する」
の体が寄りかかってくる。
ほどよい温かみが伝わってきて……安心する、というのがわかる気がした。