第3章 ツリーは〈緑〉が定番
「寒くない? マフラー、一緒に巻きましょ?」
特典として貰った長いマフラーをオレの首に巻いてくる。
その姿が新鮮で……もっと見ていたいと思った。
が、当然のごとく人前で抱き締めるだのキスだのはしない。
するわけがないだろう、あれらは二人きりの時にするものなのだよ。
手を繋ぐ、腕を組むが外でできる最高ラインだろう。
好きだから、愛しているからといってところ構わず…というのは美しくないのだ。
だが今日は……。
「どうしたの? あまりの寒さにぼーっとしちゃった?」
「いや……」
「なあに?」
「オレも……お前の傍が一番安心する。……好きだ。ずっと傍にいてくれるか?」
普段こういった言葉は言えない。
だがばかりに言わせるのもおかしな話だ。
今日はクリスマス。
緑色のツリーの下……今日だけは、素直に。
「当たり前じゃない。……傍にいて」
慣れていない、ぎこちない……けれども甘い。
そんなキスをした。
・。・。Mary Christmas・。・。