第14章 真実
源外「なんだ不満か?なんなら醤油だけじゃなくて味ぽんや柚子ぽんだって…」
『種類の話じゃない!』
源外「分かった分かった。そこまで言うなら醤油は追い鰹にしといてやる」
『いや分かってません!さっきから全く人の話を聞いてません!誰か助けてください!』
源外「つーことで、御破算で願いましては…300万円だな」
『おいジジイこら。何が御破算で願いましてはだコラ。話の流れ破棄して何も無かった事にしてんじゃねーよ。そんな醤油さしに300万も注ぎ込んでたら家がご破産だわ』
源外「上手い!」
『上手い!…じゃない!取れそれ!取ってくださいお願いします!』
ボケにボケまくる源外さんに醤油さしを取らせ、
正当な修理代をきっちり払った私は直してもらったテレビをご近所さんから借りてきた軽トラックに積み込んだ。
あ、一応免許は持ってます。
『はぁ…』
源外「ひぃ、ふぅ、み…良し、確かに受け取った。もうバズーカなんて物騒なもんでぶち壊すんじゃねェよ」
『はい…』
源外「ところで嬢ちゃん」
『?』
受け取ったお金をしまいながら源外さんがお茶をすすった。
源外「そろそろ仕事の話はしめーにしよう」
『え?』
源外さんは視線で私に腰掛けるように促すと少し難しい顔をしながら聞いた。
源外「嬢ちゃんは…どっかの富豪の娘だったりするのか?」
『は…?違いますけど。何でですか?』
源外「いや…若い割に金持ちだなァと思っただけだが」
『あぁ。私、元は警察官の上層組織にいたんです。その上趣味も少なかったんでお金は溜まってく一方で…』
源外「…お上の人間か」
『いえいえ。そうじゃなくて…』
それから私はここに来た時の説明をした。
もう何度目だろう…これ。
作者ももうちょっと考えろよ。
『てな訳でして…』
源外「…」
『?』
全て話し終えて向き直ると、視線の先にいる源外さんは凍ったように微動だにしなくなっていた。
『あの、源外さん?』
源外「すまねぇ嬢ちゃん…」
『え…?』
源外さんは崩していた足を直し、堅苦しく正座をすると頭を下げた。
源外「嬢ちゃんをここに連れて来ちまったのは間違いなく…俺だ」