第14章 真実
源外「どっこいせ!」
しばらく待つこと数10分。
源外さんは重そうなドラム缶テレビを持ち上げながらヨタヨタと戻ってきた。
『大丈夫ですか?』
源外「なめてもらっちゃァ困る。まだまだ余裕ってもんよ」
『おー。頼もしい』
源外「にしても…」
持ってきたテレビを軽く叩きながら眉を顰める源外さん。
源外「嬢ちゃんが払うのか?テレビの修理代」
『はい。壊したのは私なんで』
源外「こいつァ高くつくぜ。なんたって粉々のテレビを直せってんだ。1000ピースのパズルなんかよりよっぽど難しい」
『すいません…』
源外「しかも前のやつより高性能にしろだなんだって言いやがって」
『え?高性能って…誰がですか?』
べつにこのままでも不自由しないと思うけどな。
源外「嬢ちゃんとこの大将殿よ」
『はぁ!?』
あんの野郎…自分が払わなくていいからって好き放題言いやがって…!
まぁ、壊しといて文句は言えないけども。
『高性能って…どんな感じですか?』
見たところ前となんの変化も無いテレビをぐるっと一周しながら観察する。
『どこも変わってませんけど…』
源外「そこの赤いボタンを押してみな」
『これですか?』
ポチッ
言われたとおりに押してみる。
ウィィィン
『おおっ?!』
テレビのてっぺんがパカリと開き、
機械音と共に上へと伸びる3本のアンテナのようなもの。
『これは…?』
全て伸びきって動きが止まったアンテナは、先端が曲がるストローの様に折れ曲がっていた。
源外「聞いて驚け…そいつはなァ」
『ゴクリ…』
源外さんの醸し出す重々しい雰囲気に思わず生唾を飲み込んだ。
源外「醤油さしだ」
『だからなんで醤油だァァ!』