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タイムマシンは幸せの鍵【銀魂】

第12章 約束


それから数分

ゴロゴロ…

『…』

次第に雨も弱まり、さくらも落ち着きを取り戻した

銀時「もう平気か?」

腕の中のさくらに聞くと、軽く頷く

銀時「んじゃあそろそろ…」

『あ…』

腕を離して立ち上がろうとすると、さくらが袖を引いた

銀時「ん?」

『あの…』

俯いて顔を隠すさくら

『も…少し…このまま』

そう言ったさくらの長いまつげが涙で淡く光る

銀時「…わーったよ」

もう一度しゃがみこんで抱きしめると、さくらは小さく息を吐いた

にしても…

銀時「…」

時折響く雷鳴に肩を震わせるさくら

ほっせェなー…
ホントに俺らと同じもん食ってんのか?

強く抱き締めれば折れちまいそうで少し腕を緩める

『ふふ…』

するとさくらが小さく笑った

見上げる瞳とぶつかった視線が絡み合う

『ホントに来た』

銀時「…は?」

『約束。助けに来てくれるって言ったでしょ?』

ようやく顔を覗かせた瞳は月明かりに照らされ、目元に残った涙が名残惜しそうにキラキラと光る

銀時「…ああ」

手を伸ばし、淡く光るそれを指で拭うと悪戯っぽく笑うさくら

『来てくれると思わなかった』

銀時「バカお前ェ俺が嘘ついた事あったかよ」

『神楽ちゃんに牛だって嘘ついて豚食べさせてたよ』

銀時「あれは嘘じゃねェよ。生きるための大人の知恵だ」

『なんでも「大人の」って付けりゃ良いと思ってんでしょ』

いつもの調子が戻ってきたさくらはヘラヘラと笑いながら立ち上がり、伸びをする

『んー』

銀時「もう平気か」

汚れた浴衣をはらいながら聞くと

『うん。ありがとう』

さくらは満面の笑みで振り返った


――――その時


…ドォォォン

空の上で何かが弾けた

『…っ』

耳を塞ぎ、しゃがみ込むさくら

…ドォォォン

銀時「…オイさくら」

『やだ…』

小さく震えるさくらの肩を叩くと首を振ってそれを拒む

銀時「大丈夫だ。雷じゃねぇよ。ほれ見ろ」

『…え?』

恐る恐る顔を上げる

『う…わ』

その視線の先にあるのは

ドォォォン!

湿った空に咲いた色とりどりの大輪だった
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