第12章 約束
新八「うわー…この雨、なかなか止みそうにないですね」
肩に乗った水滴を払いながら新八が空を見る。
銀時「だぁーから言ったろ。お前ぇらが雨だ何だって騒ぐもんだからお月さんが隠れちまったじゃねぇか」
神楽「うぃっくしょーい!…ゔー」
神楽がズルズルと鼻水をすする。
新八「大丈夫?神楽ちゃん」
神楽「うーぃ…風強くなってきたアル」
新八「そうだね…そういえばさくらさん、戻ってきませんね」
銀時「…」
川岸にある時計を見ると、さくらと別行動を始めてからかれこれ40分以上は経っていた。
神楽「大丈夫かなさくら…」
さくらの様子から察するに、多串君にでも呼び出されたんだろう。
今俺が探しに行ったところで無粋なだけだ。
銀時「アイツもそこまで馬鹿じゃねぇ。どっかで雨宿りでもしてんだろ」
大人ぶってそう言って見せると、新八と神楽は不器用に笑った。
新八「そう…ですね!」
神楽「きっと大丈夫アル!」
その時
ゴロゴロゴロゴロ…
空に稲妻が走った。
新八「うわ…本降りになってきましたね」
銀時「こうなりゃ花火は無理だな」
見上げた空には重い雲がのしかかり、近くの山へ雷を落とす。
隣では同じように橋の下へ逃げ込んだ女が小さく悲鳴をあげている。
神楽「銀ちゃん…」
銀時「ん?なんだ宇宙最強の戦闘民族様も雷が怖ぇのか?」
控えめに袖を引く神楽は首を小さく振る。
神楽「私、雷は全然平気ヨ。でも」
銀時「?」
神楽「さくらは雷が苦手アル」
…
新八「あ…っ!ちょ、銀さん!どこ行くんですか!」
俺は橋の下から飛び出していた。
銀時「お前ぇらはそこにいろ!絶対に動くなよ!」