第12章 約束
〜銀時side〜
神楽「銀ちゃーん」
橋の上で神楽が浴衣の袖を引っ張る。
銀時「うるせェ」
新八「銀さん」
新八が眉根を寄せてもう片方の袖を引っ張る。
銀時「黙ってろ」
二人の言葉を鋭く遮る。
だがガキども二人は負けていなかった。
新・神「雨降りそう…」
空を見上げた二人が不安そうに呟いた
銀時「あ"ー!言いやがったな!雨降ったらお前ぇらのせいだかんな!」
新八「何言ってんスか。どう見たって一雨来そうじゃないですか」
メガネ掛け機が呆れ顔で俺を見る。
てかメガネ掛け機のクセに表情筋あんのか、世の中進んでんな。
銀時「馬鹿お前、言霊っつーのがあんだろ」
神楽「馬鹿はお前アル。馬鹿は休み休み言えヨ」
銀時「馬鹿……馬鹿……馬鹿」
神楽「ホンモノの馬鹿アルな」
神楽がゴミを見る目で俺を見る。
銀時「何とでも言いやがれ。とにかく雨降ったらお前らの…」
新・神「あ」
新八が差し出した手のひらに冷たい水滴がポツリと落ちる。
サァァァァッ
瞬く間に雨が降り出した。
銀時「ほら見ろォ!」
町民の不安と強まる雨足をかき消すようにアナウンスが流れる。
《お客様にお知らせいたします。只今降り始めました雨により、花火大会の開始時刻を20分延期させていただきます。今後の予定につきましては再度アナウンス致します。ご理解とご協力のほど、宜しくお願い致します》
新八「銀さん!とにかく雨を凌げる所まで移動しましょう!」
神楽の傘に入った新八が声を張り上げる。
銀時「そーだな」
結局さくらと合流出来ないままだったが、この雨じゃどの道さくらも何処かで雨宿りをしているだろう。
俺たちは神楽の戦闘用アンブレラに入り、橋の下へと逃げ込んだ。