第11章 俺のターン
総悟の背中が見えなくなると、私はもう一度階段に腰掛けた。
『何だ今日は…何だ…何なんだ…もー!』
何であの時…断ったんだろう。
私は土方さんが好きなのに。
総悟のまっすぐな思いも…
私はどうしたらいいのか分からない。
"俺ァお前に惚れてる"
"俺を選んで下せェ"
二人にそう言われたとき、
一瞬目の前がまっ白く染まった
『わかんない。誰だよ私…誰なんですか!小鳥遊さくらです!』
自分が自分でわからない。
自分の気持ちがハッキリしない。
誰でもいいから代わりに決めて欲しいくらいだ。
『もうやめよ』
一旦考えることを放棄しよう。
時計を見るとそろそろ花火が始まる時間だった。
かれこれ40分はここにいた事になる。
『走れば間に合うよね』
下駄を履き直し、境内を出ようと足を踏み出した瞬間――――
サァァァァッ
雨が降り出した。
『だァァァァァ!』
今日はホントに何なんですか!
神様っていますか!
空を見ると見事な曇天。
傘なんて持っているはずもなく…
『…5分待っても止まなかったら走る』
ため息をついてもう一度階段に腰掛けた。
今日何回立ったり座ったりしてんだ…
途方に暮れ、頬杖をついたその時
『…っ!?』
空が光った。